確定申告しなければ住民税は掛からないの?
所得税の申告は住民税の申告と密接に関係しています。
さまざまな場所に支払った税金(固定資産税、国民健康保険税)は、時に別の申告において控除として算入できますが、住民税の支払はどの控除にも算入できません。
そんな理由から、多くの人は住民税を払いたくないと思うようです。
住民税の申告は確定申告によっても行うことができるため、「確定申告をしないなら住民税はばれないのではないか?」と思っている人もおられます。
住民税の計算方法
住民税の計算は、各個人の収入や所得や控除等の情報を基にして計算されます。
このすべての情報を一気に手に入れることができるのが、税務署です。
年末調整や確定申告にはこれらの情報がすべて収められています。
ただ現在の行政の仕組みでは、税務署の情報を住民税の計算を行う市町村が把握するのが難しい状況です。
唯一確定申告は申告書の第二表が各市町村へ回されるため、この情報によって各市町村は住民税を計算できます。
確定申告しない=住民税ばれない は正しいか?
確定申告をしなかったら本当に住民税はばれないのでしょうか?
答えは、いいえです。
ばれます。
ばれる要素は下記の2つ。
確定申告
上記で述べたとおり、確定申告書の第二表が各市町村に回されます。
給与支払報告書の提出
事業主は年末調整終了後、期限まで(平成28年は2月1日月曜日)までに各従業員の住所地が属する市町村へ源泉徴収票を提出することになっています。
提出する従業員の住所地は1月1日現在の住所所在地の市町村へ提出します。
【源泉徴収票を提出するケース】
- 平成28年1月1日現在の在職者(給与金額に関わりなくすべて提出)
- 平成27年退職者(退職者の場合年間給与支払額が30万以下の場合は、提出しなくてもよいことになっていますが正確な所得の把握のために提出がすすめられています。)
この手続きにより、納税者の知らないところで事業主によって源泉徴収票が提出されています。
確定申告を行わない人の所得の把握には、この手続きが大きな鍵を握ります。
これまで市町村は名前や生年月日、住所等などで、給与が複数ある人の所得を管理してきました。
しかし役場の人も人間なので、やはり記入漏れや同姓同名ゆえの転機ミスなども見受けられました。
しかし平成28年からは日本国民すべてにマイナンバーが割り当てられ、番号で所得が管理されるようになります。
このことによって上記のような問題が解決されることが期待されています。
ばれることを恐れるより正しい申告を心がけよう
住民税の滞納や申告漏れは、これまでずっと大きな問題として取り上げられてきました。
各市町村の財政もますます厳しくなっているため、どの市町村も住民税の回収に力を入れ始めています。
上記で述べたとおり、住民税がばれないようにすることは難しいです。
またいったん把握した所得に基づいて住民税の納付書を納税者に送付しても、払わない人も多いため住民税の回収に苦労を要してきました。
どの市町村も平成28年より住民税の回収率を上げるため、特別徴収(給与天引き)を推し進める活動を始めています。
これまで事業主が源泉徴収票を各市町村へ提出する際、特別徴収か普通徴収(自分で納付)を希望して提出することは比較的簡単でした。
しかし平成28年より普通徴収を希望する場合は「普通徴収切替理由書」というものを一緒に提出することになりました。
その理由書には普通徴収を希望する理由を明確に示さなければなりません。
理由書には普通徴収にしたい理由が選択制で書かれています。
逆を言うと、理由書に書かれているどの理由にも該当しない場合は、自動的に特別徴収(給与天引)になります。
このような流れから結論として、住民税がばれないようにするよりも正しい申告を行いきちんと納税することをお勧めします。