個人事業主の確定申告!知ってお得な特例控除
個人事業主といってもさまざまな業種があります。
業種の性質上経費が比較的多いものや少ないものもありますよね。
経費がある程度あれば確定申告もスムーズにいきますが、経費が少ない場合は本当に頭を悩ませます。
今回は、経費の少ない個人事業主の方必見!
個人事業主が確定申告で受けられるお得な特例控除について特集します。
経費が少ない業種
経費が少ない個人の事業所得にはどのような業種があるのでしょうか?
いくつか事例を挙げてみましょう。
清掃用品のレンタル業
モップや玄関マットのレンタルを行っている方のことを指します。
「ダスキン」や「サニクリーン」などといった会社を思い浮かべる方も多いと思います。
このようなお仕事をされている方で、年末給与の源泉徴収表ではなく支払調書という書類をもらう方は事業所得になります。
集金業務
新聞の集金など毎月同じ家に集金業務を行っている方のことです。
この場合も支払調書で受け取っていることが条件です。
検針業務
電気、水道など毎月特定のお宅に検針業務を行っている方のことです。
この場合も支払調書で受け取っていることが条件です。
お得な特例!
上記のようなお仕事をしておられる方にぴったりなのが「家内労働者等の必要経費の特例」という控除です。
家内労働者等とは、家内労働法に規定する家内労働者や、外交員、集金人、電力量計の検針人のほか、特定の人に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする人をいいます。
この特例を受けられる条件は下記の通りです。
- 事業所得と雑所得にのみこの特例を受けることができます
- 家内労働者等の条件に当てはまる人は、実際の経費がなくても、この特例によって65万円まで必要経費として認められます
- 給与の収入が65万以上ある場合は特例を受けることができません
もし給与収入が65万未満ならば、まず65万から給与収入と実際に事業収入や雑所得の実際にかかった経費を比べて高い方を必要経費として参入します。
具体例でみましょう。
【Aさん 家内労働者等の収入150万 給与30万 実際にかかった経費25万】
- まずこの方は給与収入があるため、必要経費の特例65万を事業収入からすべて引くことができません
- 必要経費の特例65万から給与30万を指引いて、事業収入で使える必要経費の金額を求めます
- 必要経費の特例分65万-給与収入30万=35万(事業収入で使える必要経費の特例金額)
- 給与収入は必要経費の特例ですべて相殺されましたので、給与所得は0円となります
- 事業収入150万-残りの必要経費の特例分35万=115万円(事業所得)となります
では家内労働者等に属する収入のある人が、青色申告特別控除の条件を満たしているならどうなるでしょうか?
たとえ売上が少なくても、青色申告の用件を満たした方法で帳簿をつけているなら、青色申告控除65万も受けることができます。
つまり給与もなくて事業所得・雑所得だけであれば、家内労働者の必要経費の特例65万と青色申告控除の65万を足した130万円を事業収入から引くことができるのです。
例えば、事業収入130万円のBさんの場合、
特例を受けた場合
事業収入130万-必要経費の特例65万-青色申告控除65万=0円(年間合計所得)
特例を受けなかった場合
事業収入130万-必要経費の特例=65万(年間合計所得)
年間合計所得が0円と65万では大きな差が出てきます。
国民健康保険や住民税はこの所得によって計算するからです。
この家内労働等の必要経費の特例は、まさに経費の少ない事業収入のある人にとって救世主にような存在になること間違いなしです。
この特例を受ける場合は「家内労働者等の事業所等の所得計算の特例の適用を受ける場合の必要経費額の計算書」という書類を確定申告書に添付する必要があります。