確定申告不要の条件とは?ボーダーラインの金額
確定申告をしなくていいのであればしたくないと思っている方は多いでしょう。
確かに確定申告は時に複雑で自分で行うのは大変です。
では、確定申告不要の条件にはどのような物があるのでしょうか?
あるとすればボーダーラインの金額はいくらでしょうか?
今回は確定申告の不要の条件について特集します。
確定申告が必要か否かの判断基準
今回は、給与所得者の確定申告にスポットを当てて見てみましょう。
給与所得者の大部分は、年末調整によって税金の清算が終わっているため、確定申告は必要ありません。
しかし国税庁のホームページによると下記の要件を満たすものは、確定申告が必要です。
- 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
- 1か所から給与の支払いを受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える
- 2か所以上から給与の支払いを受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
となっています。
というわけで、2000万円以上の高収入のサラリーマンや副業をして年間20万円以上稼いでいる人は、確定申告の可能性が出てきます。
確定申告が必要な所得額
では具体的な数字の例をあげて確定申告の必要性の有無を見てみましょう。
給与所得のみで年末調整をしていない場合
すべての人には基礎控除38万が与えられています。
給与控除が65万あるので、65万(給与控除)+38万(基礎控除)=103万(受けられる控除総額)となり、収入が103万円までは税金がかからないようになっています。
Aさんの給与収入が130万だとした場合、
130万-103万=27万
この27万の所得の部分には税金がかかります。
しかしAさんに他の控除があれば、話が変わってきます。
例えば、Aさんに17歳の扶養親族がいたらどうなるでしょうか?
17歳の扶養親族控除は38万あるので、この27万円の所得の部分はなくなります。
つまり課税所得は0円になるので税金はかかりません。
ではこのような場合は、確定申告しなくてもいいのでしょうか?
課税所得はありませんし、上記の確定申告すべき人の条件も満たしていないので、しなくてもいいと言えます。
数字上では確定申告はしなくてもいいのですが、確定申告をしない場合はいくつかの問題が発生してきます。
1.源泉徴収の問題
Aさんが、給与から年間5000円税金を引かれていたとします。
数字上確定申告は不要との理由で確定申告をしなかったら、この5000円はどうなるでしょうか?
もちろん戻ってきません。
確定申告によって税金を取り戻さなければ損してしまいます。
会社できちんと年末調整をしていればちゃんと戻ってきますが、そうじゃない場合は、確定申告をしないと損する事になるのです。
年末調整がちゃんとされているかどうかは、こちらをご参照ください。
2.住民税の問題
確定申告しない場合、市町村にAさんの収入の情報が伝わらない事があります。
市町村は、Aさんの勤務している会社が、源泉徴収票を市町村に提出することによって、Aさんの収入関係の情報を把握できます。
そして正しい住民税を計算できます。
これは以前実際にあったケースですが、遺族年金を受け取っておられる方で、「遺族年金は非課税所得なので確定申告しなくてもよい」と思っていたため、申告していないケースがありました。
しかし後に、最高額の住民税の納付書が送られてきました。
市町村と日本年金機構の情報がうまく伝わっていなかったため、収入不明ということで最高額の納付書が送られてきたということです。
後にこの方は市町村へ住民税の申告をして、正しい納付額の納付書を受け取りました。
もし確定申告が不要でも、住民税の申告は忘れないようにする必要があります。
結論として簡単に確定申告の有無を判断できません。
基本は先述した国税庁のホームページに書いてある通りですが、必要か不要かはケースバイケースです。
正しい判断には、税務の知識が必要となります。
一人一人の受けられる控除額、家族構成などを考慮して、まず税金の有無を確認しなければなりません。
税金が発生しないことがわかった後でも、もし源泉徴収が行われていたのであれば、それを取り戻すために確定申告をしなくてはいけません。
自分で判断せずに、専門家へお尋ねになることをお勧めします。