分離課税って何?いくつかのケースをご紹介
確定申告で税金を計算する際、様々な計算の仕方があります。
これは税金の特性がそれぞれ違うために、その税金の特性に合った税率を設定しているためです。
みなさんは分離課税という言葉を聞いたことはありませんか?
言葉通り何かを分離して計算するのだろうということは察しがつきます。
しかしなぜ分離課税と呼ぶのでしょうか?
どんな計算方法なのか?
ここでは分離課税の説明と共に確定申告書の書き方も特集します。
分離課税とは
分離課税は二つに分けることができます。
源泉分離課税…確定申告は不要
申告分離課税…確定申告が必要
通常の所得税は、所得の合計金額に課税する総合課税という方法で計算します。
しかし特定の所得に対して、独自の計算式で課税するのを分離課税といいます。
源泉分離課税とは
源泉分離課税は、上記でも述べたように確定申告不要です。
源泉分離の最大の特徴は、税金が天引きされその時点で納税が完結してしまうという点です。
では源泉分離課税にはどのようなものがあるのでしょうか?
代表的な例として「利子所得」があります。
利子所得とは、銀行の預貯金についている利息のことです。
通常所得と呼ばれるものは、総収入から経費や控除を差し引いた金額を指しますが、利子所得の場合はちょっと違います。
利子所得は受け取った利子の源泉を引く前の金額がそっくり利子の所得の金額となります。
通常所得税は金額に応じて税率を変化させますが、利子所得は変化せず税率が決まっています。
税率は一律20.315%です。
内訳は所得税、復興所得税合わせて15.315%、地方税5%。
通常所得税はさまざまな控除を駆使して還付を行うことができますが、利子所得に関する税金は他の所得からは何の影響も受けませんので、いったんこの税率で税金を差し引かれたら、あとはどうすることもできません。
つまり還付の可能性はゼロということです。
しかし源泉という言葉を聞くと、給与から天引きされている源泉徴収税を思い出される方も少なくないでしょう。
給与天引きの源泉は、年末調整や確定申告で取り戻せるじゃないかと思われるかもしれませんね。
ですが、源泉分離で前もって引かれた源泉所得税と給与から天引きされた源泉徴収税は性質が異なります。
源泉分離の税率は変化しません。
しかし給与天引きの源泉税は金額、家族構成などによって変化します。
また天引きは概算で引かれています。
それで年末調整や確定申告によってきちんと清算する必要があります。
申告分離課税とは
申告分離課税とは源泉分離課税と違って、確定申告によって税金を清算しなければなりません。
分離課税に属するのは下記の通りです。
株式の譲渡所得
不動産売却の譲渡所得
先物取引に対する雑所得
山林所得
分離課税の税率
確定申告書の申告分離課税の対象の申告はそれぞれに税率が定められています。
では分離課税の税率の書き方の幾つか見てみましょう。
株式の譲渡所得
譲渡の形態
平成21年分~平成25年分
平成26年分以後
金融商品取引業者等を通じた上場株式等の譲渡
10%
(所得税7%、住民税3%)20%
(所得税15%、住民税5%)上記以外の譲渡
20%
(所得税15%、住民税5%)
株式譲渡には変動がつきものです。
一年目は利益が出ても二年目には損失そんなことは日常茶飯事です。
このような時、株で出てしまった損失を損益通算という方法で処理することができます。
複数株式に口座を持っている場合、利益が出ている口座は税金が引かれています。
しかし別の口座は損失が出ている場合、この二つを合算して多く引かれた税金を取り戻すことができます。
また合算してもなお損失の方が多い場合は、3年間譲渡損失の繰り越し控除ができます。
ただ注意が必要なのは、株の譲渡がない年でも来年損失を繰り越したい場合は申告が必要です。
分離課税の確定申告書に譲渡損失の繰り越しの書類を添付しましょう。
不動産売却の譲渡所得
不動産売却の譲渡所得には二種類あります。
大きく分けて長期と短期に分けることができます。
長期譲渡所得とはどんなものを指すのでしょうか?
それは譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるものをいいます。
では短期譲渡所得はどんなものを指すのでしょうか?
それは譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下のものをいいます。
一見分離課税と聞くと書き方が難しいと思われるかもしれませんが、一つ一つ計算してみると意外と自分でも計算できるものです。
あきらめないで頑張ってみましょう!
知りたいことが出ていない。基本的なことを聞きたいのに。やっぱり税務署に聞くほかないね